攻殻機動隊(実写版 ゴースト・イン・ザ・シェル)はもっと評価されて良い

今年も大量に、人気原作漫画の実写映画が公開された、又は公開を予定されている。

 

中でも、進撃のナンチャラ再びかの雰囲気を醸し出しているのがハガレン(鋼の錬金術)であるのは間違いがないのだが、今さらウィンリィが金髪じゃない、みたいなディテールを追求するのは、問題の認識が異なっていると思う。

 

(公開された出演者ビジュアルに対して、背景をビッグサイトにしたら納得=コスプレイヤーのイベントに見える、と言うコメントは納得感が有るのはあるとして。)

 

問題の根本は、銀魂の様な、そもそもギャグのネタが日本人にしか解らない様なドメスティックな作品を、既存の※国内向け商売のレールに乗せるのは、低予算でもやりようがあるから、まだいいとして、

そもそも登場人物に日本人なんて1人も出てこない上に、ロケーションだけでも壮大なスケールで、5秒間の錬金術バトル1つとっても大変そうなアクションシーンを抱え、役者の演技力も重要なダークファンタジーでシリアス作風のハガレンを、提供側の都合で、そこに使ってしまうのが問題なのである。

 

※ 国内向け商売とは(私の認識)

 

この原作ならX万人動員は狙えて、更にタレントのAとBを使えばプラスでY万人と言った足し算で作られる、国内しか見ない故に、その制作予算じゃまぁ無理でしょと言うスケールの作品まで実写化する商売。

 

そんな制作ラインに乗せて作られた、原作ファンから見れば最初から敗戦処理の様な(提供側に原作に対するリスペクトがゼロな)作品で、今さら、髪の毛の色が〜、みたいなディテールをツッコむ、なんて意味がないよね、と言うのが私のハガレンに対する意見を見た感想。

 

頑張っては見た結果として、最終的に、う〜ん、となるかもしれないが、ハンガーゲームのジェニファー・ローレンスや、エマ・ワトソンをキャスティングできる様な、世界をターゲットにした挑戦というか、枠組みで、故にビッグバジェット(大規模な予算)で作る、と言うのがスタートラインとしては、より納得感があるのではないだろうか。

 

その出来上がりが、必ずしも原作ファンを満足させるのかと言えば、どうしてもより万人向けにする以上は、キツイ言い方をすれば『バカでも泣ける化』しなければならなくなり、

それは炭のままじゃ広がらないので、より多く面積を塗りつぶすために墨汁にすると炭愛好家が、「違う、炭じゃ無いじゃないか」と激怒するのは仕方がない所ではある。

 

ただ、それ以前に、もう国内向けのそこそこ儲かりゃいいよね妥協プランの作品では、ストーリー、脚本や演技以前に、絵が論外なのである。

もうファミコンはおろか、プレステ1の画質じゃ無理と言う意味で。

 

さあ、ここでそれを踏まえて本題、攻殻機動隊(実写)である。

 

現状で、特に熱烈な押井ファン(と思われる人々)からはボロクソに叩かれている、攻殻機動隊(実写)である。

 

この映画は、荒巻にビートたけしを起用するなど、何故最後で日和った感のある詰めの甘いキャスティングが見られるなど、隙は多々あるにせよ、既存の日本しか見てない前述した論外の枠組みとは異なり、ハリウッド水準で制作された、正にビッグバジェットな作品であるのは間違いがない。

 

この点において、私は、現代水準のエンターテイメントとしてバージョンアップさせる事に成功したかどうか、こそが最も重要であり、その観点で、この作品を世間の評価とは異なり好意的に評価できる部分もあると考えている。

 

アニメの攻殻機動隊は、どんなに素晴らしさを語っても、その絵じゃもう無理だよ、それらをリアルタイムに原体験していた人は、今見ても思い出補正で、どうにかなるけれど、そうでなければ通用しないよ、と言う、当時とは異なり、「◯年前に作られたにしては」という前置きが必要な、古さを感じざるを得ない状態だと思う。

 

この辺の感覚は、現在最先端のエンターテイメントとして、何を体験しているかが、感想を分けるのではないだろうか。

 

例えば完璧な画面のコントロールは、手書きのアニメでしか出来なかったのは今や昔で、ゲームの世界ではよりハイクオリティを追求した上で、それを実現しているし、

 

ゲームが実映像への接近、リアルを追求した事で、いわゆるコンピューターグラフィックが実写との境界が曖昧になった結果、実写でも完璧な背景、完璧な画面のコントロールが可能になりつつある。

 

 

 

 今後、どんなフィジカルエリートが挑もうが、これを越えるアクションを行うのは不可能。

不気味の谷を越えた、全編フルCGで作られた完璧なアクションシーンは必見。

 

ファイナルファンタジーの映画化を笑う時代は終わった。

 

 

そして、今や、エンターテイメント界に対する現状認識として、作品がハリウッド映画より売れるのが、そのリアルを追求した表現力を持つゲームなのを理解しているかどうかで、いや、体験しているかどうかで、実写版攻殻機動隊の評価は異なってくると思う。

 

作品が人を虜に、魅了するか、没頭させるか、というテーマにおいても、◯◯を×回観た、みたいな話をしたところで、100時間、200時間が珍しくないゲームプレーには到底及ばない。

 

 

ストーリーや設定、日本向けに日和ったキャスティングなど、叩く為の叩く要素はいくつもあるだろうし、見つけられるだろう。

 

だが、それ以前にスタートラインにすら立てていないと言うか、最初から立つ意思のない作品とは異なり、

 

それはGTA5、ウィッチャー3やフォールアウト4、ホライズンゼロドーンと言った、最新のエンターテイメントに触れている肌感覚を持つユーザーとして、日本のアニメ原作としては初めて、水準に達したと言う視点で評価し、見ておいて損はないレベルであると考える。

 

 

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例えば、これをGTX1080で動いてる最新のゲームです、と言われてもパッと見では違和感なく「おう、かなり頑張ってる作品やね」と受け入れられてしまうかどうか。

 

 

一方で、それらをプレーした事がない様な、つまり最新のエンターテイメントの水準を知らないが故に、一切の評価をせずにアラだけを叩いてる人々を見ると、

若者に人気のバンドに難癖を付ける人達と同じくらい、あの様な時代遅れにはなりたくはないなぁと自戒の念を覚えるのであった。

 

 

 

 

炭愛好家が墨汁になって気に入らない、と言うだけの話で、その感情を正当化する為に大層な理由をつけている様にしか思えない。

 

映画館で観賞した際に隣の席は、10歳位の男の子だった。

彼にとっての映画の、映像のスタンダードが、これになるのであるし、こういった積み重ねにより、世の中のアベレージは間違いなく上がっていく中で、それでも一歩先の最先端にはいつでもキャッチアップしていたいと思う。

 

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