野池キングになれ これからの『釣りのプロ』

ツイッターのプロモーション(広告)枠でイマカツ(今江克隆さんの通称)のコラム記事が流れてきたのを見た。

 

無料で読めるらしい。

 

今江克隆/バス釣りの水平線 連載第18回 | Fujisan.co.jpの雑誌・定期購読

 

文中で使われるタックル、用語等は時代の流れもあるが、内容としては私が『釣りトップ』時代に読んでいた彼のコラムと、読者からの質問というお題をテーマに語る、という点も含めて変わらないなぁという感想を得られ、あの頃を少し懐かしく思い出した。

 

注釈  釣りトップとは学研が発行していた小中学生向けの釣り雑誌で、ブームを先取りして1990年頃はバス一色の内容になっていた。

 

それは、いわゆるワールドシリーズ(っぽい名前のバストーナメント)が始まった頃であり、同紙ではあの村田基さんもバスプロ的な立場で連載している等、黎明期らしい状態であった。

 

ちなみに村田基こと、通称ジムは三ヶ月に一回位、『いかに俺のボートは日本で1番速くて、誰もついてこれないのか』を語り、謎の優位性(まあ確かに有利だけどさ)を誇っていた。

 

 さて、話は戻るが、そんなイマカツ氏のコラムで未だ印象深いのは、読者からの質問で『バスプロになりたいのですが、どうしたらいいのでしょうか』と言う、ショースポーツのトッププロだけでなく、メディア等で活躍している人や、趣味系、又はジャンルとしてファンが多い業界のインサイドにいると受ける事が珍しくはない憧れにより生まれる疑問に回答した記事であった。

 

今にして思えば、まだイマカツ氏自身もサラリーマンの時代であり、バスプロとして駆け出しというか、バスプロと言うもの自体が漠然とした時期であり、プロ野球選手の様に自信を持って少年に明確な道を示すと言う確度で答えるのは難しいかったと思う。

 

それでも氏は、今のテンションと変わらず答えた。バスプロは断言しなければならんのである。

 

『野池キングになれ』

 

その手法の方が鮮烈で(最初は上手い奴に取り入ってでもメソッドを盗んで、いろんな奴から吸収すれば君がナンバーワンだ的な…)、肝心のなぜ野池キングになる事がバスプロに繋がるのか、と言う、風吹けば桶屋理論の部分は記憶が曖昧ではある。

 

まぁ、実際に現在(2016年頃)の状況として、ルアマガでイマカツ氏が言っていたのだが、イマカツが大手メディアでプロモーションしても大して売れなかったルアーが、地元レイクしかやらない地元アングラー(正に野池キング)が徹底的に一つのレイクで釣り倒したら火がついて凄い売れる、みたいな事は起きてるらしい。

 

ただ、別にその時の記事は、そんなネットによる情報拡散により人気や話題が伝播していく時代を未来予知をした訳でもなく、もっとシンプルな地区大会の先に、県予選があって、関東大会、全国大会があり、先ず地区を突破せんと話にならん的な部活ノリの話だった気がする。

 

 

一方であれから30年近くが経つ割には、釣りのプロと言うのが、未だに職業としてプロ野球選手のように確立されてはいないにせよ、活躍すれば良い野池といのは見えてきた気がする。

 

それは何処でも多々起きている構図で、特に紙媒体が最大手のメディアとなる様なジャンルで、個人メディアによる逆転と言う地殻変動である。

 

ここで若干話は迂回するが、街の本屋をAmazonが潰したと言われたが、実の所、Amazon上陸前にコンビニが回転の早い雑誌、週刊誌を中心に年間5000億円を奪っている事実は意外と知られていない。

 

もっとも、その奪った売り上げ自体、売り場面積の争奪戦が激しいコンビニ店頭にてあれだけのスペースを確保し、見た目は派手に売っているが、実はピークの半分以下(年2000億円程度)になっており、象徴的な事例として週刊少年ジャンプの様なキングオブキングスですら凋落しているのが、紙と言う媒体の現状なのである。

 

また、広告媒体としての信用を高める為に、本当に印刷所が発行した部数を証明する、発行部数証明書、というものがあり、先のジャンプを始めとした漫画誌、文春に代表される週刊誌、さらには趣味のジャンルではゴルフ誌などがこれを行なっているが、釣り雑誌は一つもやっている所が無い、というのが、お察しください、と言う事なのだろう。

 

 

このネットによる自分メディアを活用しているかどうかで差が現れ始めたのが、2000年代から10年頃における東京湾シーバスゲームシーンではないか、と最近感じている。

 

大野ゆうき、村岡昌憲、と言う両者が、あれほど圧倒的に支持されている要因として、何処で差がついたのかを考えると、ブログの存在は大きかったと感じる。(これは2010年以前、fimoが始まる前の話で、始まった時は既にトップクラスだった。)

 

レガシーなメディアと言うのは、取材の当たり外れは時々有るにせよ、有る意味で差をつけてくれないからね。

 

この点で、彼らはネット上における『東京湾シーバス池』を制したと言えるんじゃないだろうか。

 

ここで大野さんの様に〜、を目指してブログで行く、本当にプロになるんだ、と言うのであれば、質量共に彼らを越えるって事を先ずやらないとむりなんじゃないだろうか。

 

更に、ブログというのが世の中に広まったのが2000年台前半であり、当時の最先端メディア、それはいわゆるツール、道具であったのに対して、今後、又は今からスタート、という事を考えるのであれば、この先は当然、動画という選択肢が出てくる訳だけど、撮影や編集は思ってるより簡単ではなかったりする、特に一人だとね。

 

この参入障壁は年々、機材の低価格化により解消はされているのだが(昔は動画編集ソフトとか10万円位はした)、特に、現状を見ると、イマカツの様な『釣り人が釣り人として憧れる存在、バスプロの系譜としてのユーチュバー』と言うのはまだ座席が空いてる感はある。

 

 

この点を詳しく説明すると、例えば芸能人が使えば、その圧倒的な発信力で恩恵を得られるパターンというのは実のところ動く商材は限られ、どちらかと言えばジャンルを発展させる存在であり、大成功すれば、かつてのバスブームでいうと、木村拓哉とか奥田民生糸井重里(その他大勢)であり、時にジャンル規模を拡大するパワーを持つ。

 

一方で、イマカツの系譜にあたるプロというのは、フォールの姿勢がちょっと良い、とか、巻き抵抗が違うとか、やりこんだ人に訴求する商材が中心になり、閉鎖水域で勝つ、正に野池キングにあたる。

 

既存の一定の影響力を持つユーチューバーは前者にあたるが、後者のユーチューバーは今の所、影響力という点で抜け出している人は居ない、という話である。

 

この為、釣りを専任的にして収入を得るという場合、先ずスタンスとして、釣り好き芸能人枠なのか、イマカツ路線なのか、自分がどうなりたいのか、という目的意識は必要であるし、芸能人枠は既に上が詰まりつつある。

 

 

また、芸能人枠で釣りを普及させるというのも、テレビが絶対的な影響力を持っていた時代と比較した場合、簡単ではない。

 

近年、テレビを中心に、レガシーメディアの力というのがバカにされているが、現状の具体的に持ってる数字を分析した上で当時の宣伝力と同じレベルでPRするのであれば、

トップ20迄のユーチューバー全員と契約して、企業案件として釣り動画を上げてもらい、更に企画として日本ユーチューバー釣り頂上決戦みたいなシリーズを2,3年は続ける極めて大掛かりな枠組みが必要だろう。

 

なぜなら視聴率1%の価値が今とは違うし、瞬間の同時視聴数で2000万、3000万人という数字は、視聴層が重複している事により限定される動画とは影響力として桁が違いすぎるのである。

 

 

また、目指せ野池キングだとしても、バスの様に極めて整備されたトーナメントがあるにも関わらず、そこで勝っても物が動かない時代、キングの定義も単純に釣り勝つではなくなっているのではないだろうか。

 

特に、ブログにせよ、動画にせよ、「どう?俺すごいでしょ? みんな凄いって言って!」と言う、ただ自己の顕示欲を満たす為のスタンスで創作しない事を忘れない事が重要だと考える。

 

これはつまり、デカイ魚を釣る、沢山魚を釣る、ある意味、時間さえつぎ込めば達成できてしまうと多くの人が感じている、それ以上の何かを提供する事が求められている、更に言うならば感謝や尊敬を他人から得るとは何かを本質的に考える必要があると思う。

 

 

最近、話題になっているが岡田斗司夫さんは10年近く前から、お金よりも評価が重要になる世の中、評価経済というものを提唱してきた。

 

評価経済社会・電子版プラス

評価経済社会・電子版プラス

 

 

 

iPod touchから電車に揺られる1時間で書いた雑文故にご無礼

(ちょっと説明不足の箇所を加筆修正しました。)

 

 

P.S

 

ところで、イマカツによると今年はマグナムフローティングバイブが、くる!らしい。

 

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それはこれの事なのだろうか。

 

泳ぎを見ようとシーバスロッドでチョイ投げしたら、ロッドのティップがバキッと折れたのでそれ以来封印している因縁のルアーである。