多摩川のマルタ釣りは都会で楽しむプチサーモンゲーム 釣り場・釣り方&道具やテクニック

都内、東京23区でサーモンゲームに近い体験ができる釣りがある。

魚に合わせたタックルでビッグファイト、これぞ小さなビッグゲーム。

 

ライトタックルを引き絞り、細ラインが巻かれたリールのドラグをかき鳴らす60オーバーのレッドライナーを釣りに行こう。

 

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多摩川の清流を登るマルタは美しい魚体で、まるで臭さなんて無かった。
自分で3シーズンやってみた上で感想をまとめました。



時期や釣りをする場所 ~春の風物詩としてのマルタゲーム(マルティング)~


汽水域に生息するマルタは関東では桜が満開になるのとほぼ同じタイミングで、河川を大きく遡上して産卵する習性があります。

彼ら、彼女ら、が目指すのは玉石が敷き詰められた河川中流域以上にある急流の瀬です。

サケとは違い、そこで力尽きること無く、産卵を終えると帰っていく事もあるせいか、遡上中でも結構、口を使ってルアーに反応してくれます。

 

時期は若干のズレがありますが、3月下旬から4月下旬です。

桜の開花情報が間違いがない時期になります。


釣り人が並ぶ釣り場風景

 

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密度の差は当然出ますが、登戸堰から調布堰の中で本流筋であれば、奥まったワンド等以外は何処でも釣れます。


都内、河川中流域のローケーション、遊泳力の高い魚、という事もあり、フライフィッシングを愛好する方の間ではプチサーモンゲームと呼ばれ、かなり人気となっています。

遡上ピーク時期の週末などは、鮎釣りの名河川並に釣り人が並び、こんなにフライフィッシングをする人がいたのか、と驚きました。

様子を傍で見ていると、格好のターゲットとして、上級者が初心者の方を連れてきてのデビュー戦にしている様な雰囲気もあります。


 

この釣りのメジャーポイント

 

二子玉駅周辺 登戸堰(通称)下流 東名高速下 などがあります。

 

 

2017年は工事をしていて東京側が盛況だった東名高速

 

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二子玉駅周辺でやる場合、公園前だと深く、大きな石が多いので根掛かりしやすく、公園上流か下流の瀬(浅く流れが強い所)が良いです。

 

下記で紹介する、誰でも何をやっても釣れる簡単な瀬付きゲームをするのであれば、

先ず上から見て、魚がいるのを確認して釣り場に入れます。(要:偏光レンズ)

 

 

また、前日に冷え込んだ日や、雨の直後など、急激に水温が下がった場合は、日中、夕方頃しか反応しないこともあります。

 

 


イージーな瀬付きゲーム と 瀬付き前のタフゲーム


マルタゲームは主に状態、モードとして2つがあります。

1つは、瀬付きという、産卵ピークでこの時期、魚は局所集中しており、正に釣りやすいポイントでは、河川が、マルタの婚姻色で真っ赤に染まります。

3~4g前後のスプーンを投げ込めば後は運で、2,3投に一回は何らかの当たりが得られます。

 

注意点:魚の体に針が刺さる、通称スレがかりが増えるのでシングルバーブレスフックに変えましょう。60アップの尾にかかると大変な事になりますよ。

(釣具店の管釣りニジマスエリアトラウトコーナーにいくらでも置いてあります)

 

 

釣り方としては、この場合は特に難しい事は考えずに、上記したルアーを投げやすい7~8フィートでLクラスのルアーロッドとラインは10ポンド程度で、

 

群れの上流側にルアーを投げ込み軽く糸が張る程度にリールを巻いて、掛かったらリールのドラグをキチンと効かせてやりとりしましょう。



お子様や初心者でも楽しめたり、最初に一回やってみるには最適のゲームですが、シーバスゲームをそれなりにやっている方であれば、ゲーム性としてはそれほど高くないので、数本釣れば、つまり1時間も経たずに飽きてしまうかと思います。

私が、そんな経験者にお薦めするのは、河川内でまだマルタが散っている時期に行うドリフトゲームです。



3つのコントロール

 

これはシーズン初期、浅瀬でまとまっている群れが全く見えない様な時期の釣りになります。

(シーズン中盤以降であれば遡上第三陣など、あえて集まってる群れを外して、遅れて上がってきた次の個体を狙います。)


基本的には、マルタは個体数も多く、更に夕マヅメ等は活発にライズするように、遡上中でも貪欲に餌を捕食する事もあり、サケ等よりはイージーですが、特に水温が低めの場合等は、やることをやっておかないと釣れません。

 


その一つが、基本的にボトム(底)が大好きなので、ルアーがボトムに当たるかどうかの水深をキープすることが重要になります。

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ただ、先程の超密集な瀬付き段階であれば、ボトムを転がってれば何でも良い(ジグヘッド&ワームの切れ端ですらOK)のですが、

 


次に、2つ目の要素として、瀬付き前の状態では、ルアー(スプーン)が水を受ける姿勢になっているか、その結果、ちゃんと動いているか、

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最後に、トレースラインの調整で魚がルアーを見る時間を長くする、という3つの項目が重要かと感じています。

 

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流すコースが一瞬横切るだけと、魚に向かって落ちていく、のでは、全く時間が異なってくる。

 

つまり、ルアーがキチンとアクションをしている状態で、底の水深を維持し、尚且つ、出来るだけ魚が見る時間を増やす様に流す、となります。

 




使うルアー(スプーン)


フィールドはシーバスゲームでは中々やることが少ない1m程度の水深で流れが強い中流域です。

その中で、上記したように、水深、アクション、時間の3要素においてルアーをコントロールする必要があります。


この為、それをやりやすい事が何よりも重要で、使うルアーが単純に重さだけでも、軽すぎては浮いてしまい、重すぎてはボトムズル引きになってしまいます。

また形状も、強い流れの中で、浮き上がりやすい物は使いづらく、私はバチ抜け用のシーバスロッドを使うこともあり3~3.5gの重量で、水をつかむ速度と浮き上がりのバランスからシマノの スリムスイマー と ロールスイマー を用意しています。

 

 

 

 

 

 


ウォーターランドのディープカッパー等も使いやすいのですが、Amazonだと売ってないので一回無くすとしばらく補充しません。

渡しの場合、季節的によく使うことも有り、ロッドはバチ抜け用の8.4fのシーバスロッド、ラインは0.4号か0.6号のPE、リーダーは適当、流れ次第で8~12lb程度です。

 

 

ダイワ(Daiwa) シーバスロッド スピニング ラブラックス AGS 86LL-S 釣り竿

ダイワ(Daiwa) シーバスロッド スピニング ラブラックス AGS 86LL-S 釣り竿

 

 

これの2世代前のモデル(84LL)、これだとマルタに使うには良すぎるのでラテオの方がいいかも。

対象ウェイトが 3g~ という今のシーバスロッドでは中々無い軽さが特徴で、バチの時期にメバルルアーを流用したり、ノーシンカーワームの釣りなどにも対応できる。





シーバスの落ち鮎パターンにも通じるドリフトゲーム


3年、つまりは3シーズンやってみた感想として、瀬付き前の言ってしまえば渋い段階でのドリフトゲームが大変、シーバスゲームに近く、私は好んで前半に行くことが多いです。


先程あげた、3つの要素を掘り下げて説明すると、

・ ボトムだけは確実にキープしないと確率が激減するので必須
・ 魚に見せる時間の長さは重要
・ 流し込む距離を稼ぐのになるべく早い段階でルアーに水を当てたい

となります。


これらを円滑にやる方法として用いる手段は、


・ アップ”め”に投げる

理由→ 急流の中でルアーを確実に沈める為


・ 自分の前を通り過ぎて下流に行くまではロッドを立てた上で、ボトムをゴツゴツさせて引いてくる(ボトムバンプ程度のイメージ)

理由→ 絶対に浮かさない&手前のラインを流れに持っていかれない


・ 体の向きは上流側、ロッドの位置も上流側に高く構える

理由→ 流し込む為の タメ を作っておきたい



ルアーにアクションをさせた上で、ボトムをキープする、ここまでは簡単だと思うのですが、更にこれをやりたい。


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瀬付き状態、もしくはそれに準ずる状態、であれば考えなくても良い要素ですが、

ザーザー流れてる中でダウンに入ったルアーを普通にドリフトさせようと思っても、釣れない(確率が低い)コースになってしまうんですね。

ここでタメを使う事で、時間を演出するのが、シーバスの落ち鮎パターンでも参考になるドリフトです。




ロッド位置のタメで送り込む


これの大前提として、手前の流れにラインを取られていなかったり、流し込む前段階でルアーの姿勢を作っておくということがあります。

アップ”め”に投げたり、ロッドを立てながらボトムに引っ掛けつつバンプさせる事でラインを立てておくのは、全てこれをやる為の作業です。


姿勢とアクション、水深をコントロールしたルアーが魚が着いてるラインに達した時に、ロッドを送り込む事で魚の認識範囲にルアーがある時間を伸ばすイメージです。

 

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更に、この時間を伸ばす為に、タメを大きく作っておこう、というのが私の考えです。

 

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この時に、完全にラインの張りを抜いてしまうゼロテンションではなく、ルアーがアクションする程度、だけど流れを受けすぎて浮き上がらないラインのテンションをキープしつつ送り込みます。

 

ロッドでラインの張りを感じながら送り込む訳です。



この為、自分が使うルアーの特性を熟知している必要があり、ルアーが見える位置で感覚を掴んでおくと良いかと思います。

ちなみにこれはシーバスの落ち鮎パターンでも同じです。



遊漁券について


最後に、多摩川で釣りをする際には遊漁券(1日券1000円)が必要となります。

二子橋駅の駅前にあるたばこ店で日券、年券が購入可能です。

私は毎年、年券を買っています。

 


正直マルタは漁業権が設定されていないのですが、実はこの時期には漁業権対象魚であるウグイも同じ場所で産卵を行っている為、釣り分けるのは不可能と言えます。

 

 

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シマノ ロールスイマー使用



同じ立ち位置で釣れたウグイ

 

ちなみにマルタの記事ですが、私はこっちの方が顔がカッコイイので好き。
平均サイズが小さめな事と、マルタと違い婚姻色のオレンジ線が2本出るのが特徴。


また、鯉も多く、私は今のところヒットしたことがないのですが、3gのスプーンを投げる為のベストなタックルだと、50mは川下りの覚悟が必要かもしれないですね。

ゴツイ磯竿を使っていたおっちゃんが釣り人5,6人を”跨いで”下流に旅立った現場に遭遇したことがあります。

それとね、ニゴイがメチャメチャ銀鱗が綺麗ですね、顔はアレですが、メタリックな感じはヒラスズキに近いものがあります。


また、現在、どちらの魚種も食べるのには向かない事もあり、す掛け、更には投網まで用いて乱獲状態にある鮎と違い、資源量は豊富であるようですが、あくまでもプリスポーン状態を利用したゲームである点は、頭の片隅において参加してみて下さい。

特に、一気に河原に引き上げてしまった事により、激しく暴れた結果、頭部を強打させるのはサバイバビリティの観点で良くないです。

浅瀬に誘導した後に、そっとずり上げるとシーバスみたいに暴れません。